ここ2日ほど連続で記事にしていた「破産者マップ」は閉鎖になりました。賃貸経営者視点で注目をしていたのですが、意外に早い幕切れではありました
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「公になっている情報を公開して何がまずいか」というサイト運営者の主張に対し、「公の情報であっても名誉棄損に相当する」という弁護団の主張でした。結果としては、「いくら公の情報であっても、広く検索できる状況にして良いことと悪いことがある(今回のは悪いこと)」ってことで落ち着いたようです。
国が破産者の情報を官報に掲載している理由は、主に貸金業者向けに対して貸倒リスクを周知する意味合いだと思っています。破産者を周知して、新たな借入を起こさせず、回収不能の債権を増やさないためだと思います。公開している破産者情報はその観点で公益性があるのだと思います。逆に、破産者マップのように公益性もなく、興味本位な利用は差し控えるべき、という点も理解できます。
では、賃貸人(オーナー)が破産者情報を参照することは悪なのでしょうか。
もし、オーナーもしくは保証会社が破産者情報を常に参照するようになり、破産者の入居審査をNGとする傾向が強まると、破産者は部屋を一切借りることができなくなってしまいます。破産者を社会復帰させることができず、社会システムとしては望ましい状況でないものと思います。
では、逆にオーナーは破産者であることをチェックすべきではない、もしくは破産者であることを知ったうえで入居OKの判断をすべきでしょうか。もし、破産者が家賃を支払えなくなった場合は退去を促すことになりますが、居直って未払いで住み続けられた場合の経済的損失は計り知れません。オーナーには経済的損失が発生するリスクを避ける意味で、公益性をもって破産者情報を参照する権利はあるようにも思います。貸金業者が信用情報機関を使って破産者情報を照会するのと同様に。
最適な答えはみつからないのですが、ふと思いました。
こんな社会にならないでしょうか。
オーナーは、入居申し込み者が破産者であることを知ったうえで、通常よりも少し高い賃料での賃貸借契約を希望します。審査NGとはしません。そのうえで入居申込者はその部屋で賃貸借契約を結ぶかどうかを判断します。その賃料上昇分が気に入らなければ、他のオーナーの部屋を借りればよいだけです。
これだと破産者は割増賃料をどこに行っても請求されることになり、社会復帰していくには少し難があります。でも、オーナーの中には、社会貢献に理解のある人が一定数いて、そういった破産者を支援する目的で比較的安い賃料で破産者を受け入れる。
賃料未払リスクを上乗せ賃料として要求する利益重視のオーナーと、破産者を支援しようとする社会貢献派のオーナー。この2種類のオーナーの存在により、社会システムがよいバランスで運営される。
こんな社会ならいいなと。
こんなことを想像しながら、私は自分自身の胸に手を当ててみます。
私は社会貢献派だろうか、と。
「住みか」という社会インフラを提供する一人の人間として、高い志で生活困難者を支援していく思いはあるのかと。保有する全部屋に対して儲け度外視なんてことはできませんが、40部屋あるうちの1部屋くらい、そういった社会貢献に利用しよう、なんて広い心を持てないのかなって。
普段儲けることばかり考えてたなあー、と、ちょっと深く考え直してみたりしてます・・・
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